稽古の概要
空雲会では「振り棒」「運歩」「法定」「韜の形」「小太刀」「刃挽き」等の形(型)稽古を稽古しています。
・形稽古の意義
第一段階は無意識の精錬されていない動きを型という基準を手本とし、意識して動き、
良い動きにして無意識化し、己の中の基準を作ってゆく行為です。
・動き
呼吸と動きの一致を重視するので動きは緩やかな印象を受けるかもしれません。
早い動きには早い動きの、遅い動きには遅い動きの利点と欠点があります。
稽古目的や稽古相手に合わせて動きのスピードは変わるので、
ある程度お年を召した方にも効果的な稽古ができます。
遅い動きの利点としては
・己の動きを細部まで意識し、検証しやすいこと。
・相手の動きや、動きはじめを観察しやすいこと。
・お互いの関係性を検証しやすいこと。
・赤筋の運動になる(赤筋は有酸素運動による遅いが力の出しやすい筋肉であり、
白筋に比べ歳をとっても落ちにくい筋肉でもある)こと。
などがあげられます。
早い動きの利点としては
・反射が鍛えられる。
・白筋(早い動きの筋肉)が鍛えられる。
などがあります。
稽古の目標
空雲会では、実生活に反映できる身体感覚を養う事を目標の一つ目としています。
心が体に影響を与えるように、体の状態も心に影響を与えます。
集中の仕方、集中しすぎて疲れない方法,人との共感の仕方。
相手との流れが文脈からずれた時に仕切りなおすための手順。
心の問題を、心だけで処理しようとはせず体の状態をコントロールする事で
間接的に心のコントロールをする知恵が、古流にはあります。
空雲会では、現代の生活習慣では養い辛い身体感覚を、形(型)稽古を通して
効率よく養う事を共通の目標としています。
稽古の段階
・振り棒(重い木刀の素振り)
初心者は竹刀や通常の木刀、なれたらその方の身長や体重、体格に合わせた長さ重さの
振り棒を選び振り分けます。
重い物を数振るのが良いとする傾向がありますが、空雲会では「肚を作る」「中心感覚を養う」
「重心移動による力の流れをつかむ」ため、様々な重さを振り分けて、
重さの違いによる相違点、重さが違っても変わらない共通点を探るよう稽古します。
・運歩(歩きかた)
振り棒で出来た肚の感覚を元に真っ直ぐの感覚を作り、上下左右に振れない歩き方を身につけます。
・法定
振り棒、運歩で身につけた肚と正面(真っ直ぐ)の感覚を元に、仕太刀で間合い(距離感)を覚え、
打太刀で間合いを再現し、中心を取り合う感覚を養います。
その後さらに韜之形、刃引きと感覚と運動性、呼吸によるリズムなどのフィードフォワードとフィードバックを
繰り返し「感覚」と「運動性」と「思考」を広げてゆきます。
空雲会の方針
様々な年齢、様々な職業の方がいるので稽古目的はそれぞれ異なります。
@ 健康のため
・肩甲骨(肩の骨)を動かす事で肩こり予防に
・姿勢を良くする事で腰痛予防に
・無意識の姿勢を良くする事でPC作業での目の疲れを減らす等々
A 仕事に反映できる思考や感覚を求めて
・相手の観察の仕方
・集中の仕方
・集中しすぎて疲れさせない方法
・肚のすえ方・等々
この様に型という共通する基準を通して、それぞれの目的にかなった稽古をする事を基本理念としています。